友達だと思っていた人から商品購入をしつこく勧められた時の悲しみ
タイムマシンがあれば
タイムマシンがあれば、あの頃に戻って謝りたい。私はいい人ぶるだけの、何も知らない甘ちゃんだったと。
昔付き合っていた人がMLM(Multi Level Marketingの略。ネットワークビジネス等とも言われている)の商品をしつこく勧めてくる友達について、「ホント嫌になっちゃう」と文句を言っていた事があって、「いや、そんな事言うもんじゃないよ。きっとお前の事頼りになると思って電話して来てんだよ。話くらいちゃんと聞いてやれよ」と、いい人ぶって諭した事があった。
彼女は「そうかな」と不満そうにしていた。あの頃に戻って彼女に謝りたい。そして自分を殴ってやりたい。
朋有り遠方より来る
久しぶりに友人から連絡があって、「飯でもどう?」と誘われた。「いいね」と言う事で、一緒に夕食を食べる事になった。
久しぶりに会う友人だし、私は少し高めでも美味しいお店を提案したのだけれど、友人の強い希望でファミレス*1での食事になった。
待ち合わせの店に行くと、友人の隣には見知らぬ人がいた。義理のお兄さんだという。
近況を話す中で友人は、「実は・・・」と有名なMLMの会員になった事を話してきた。義理のお兄さんに勧められて彼の子会員になったのだという。お兄さんには多くの子会員がいるらしく、相当羽振りが良さそうだった。そして、お兄さんと一緒に商品を勧めてきた。
その話を聞いた時の、自分が感じた心情をどう表現したら良いのだろう。
“裏切られた気分”に近い気がする。「ああ、そういう事か」、と全身から力が抜け、心底ガッカリしたのを覚えている。
営業のセオリー
別に友人は悪い事をしているわけでは無い。少なくとも法的には。自分が良いと思った商品*2を、熱心に勧めているだけなのだ。
でも、私はガッカリし、裏切られた気分になり、急激に気持ちが冷めていった。だったら電話して来た時に話してくれれば良かったのに。電話でアポイントを断られないようにしたのだろうと言う事はわかる。私にも営業の知識はそれなりにあるから。
アポイントが取れて、直接話が出来るようになれば半分成功したも同然だ。でもさ、会社対会社の営業じゃ無い。久しぶりに会うとはいっても、俺たち友達だろ?
寒波が来ていた
結局、話をきちんと聞いた上で、商品の購入は丁重に断った。店を出る時、彼がレシートを取って料金を払おうとしたので、「いや、俺が払うよ。わざわざ来てくれたんだから」とレシートを奪い返した。
「あ、いいの?悪いね」と、友人はあっさりと引き下がった。もう会う事は無い、と思ったのだと思う。私が彼の顧客にも子会員にもなる事は無い、と見切ったのだろう。もう会う事は無い、私もそう思っていた。
店から出ると、外の空気は冷たかった。あの時も寒波が来ていた。数年前の、街がクリスマスのイルミネーションでキラキラ輝いていた、寒い冬の夜の事だった。