平成少数派の生活と意見

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村上春樹著「海辺のカフカ」のなかの一節が中国のネットで話題

今年もノーベル文学賞発表の時期になった。
毎年候補にあがる村上春樹さんですが、今年こそ受賞できるのか。
そんな村上春樹さんの小説「海辺のカフカ」のなかの一節が中国版ツイッターで話題になっているらしい。



話題となっているのは、2002年に刊行された長編小説「海辺のカフカ」のなかの一節。「世の中のほとんどの人は自由なんて求めてはいないんだ。求めていると思い込んでいるだけだ。すべては幻想だ。もし本当に自由を与えられたりしたら、たいていの人間は困り果ててしまうよ。覚えておくといい。人々は実際には不自由が好きなんだ」というものだ。

村上春樹氏の名言が中国で話題「納得。制限のある自由こそ、人が欲するもの」 - ライブドアニュース

 

 

自由でいることの覚悟

時計

これ、読んですぐに思ったのが、元は「出エジプト記」じゃないだろうか、という事。村上さんは博識だから「出エジプト記」のエピソードを知らないわけが無い。


旧約聖書」の「出エジプト記」には、こんな場面がある。

エジプトでの奴隷生活から救い出されたユダヤ人たちは、水も食べ物もなく、飢えに苦しみながら荒野の道を行くことになる。

すると民衆は、エジプトで奴隷で居た方がましだった、あのときは肉のたくさん入った鍋の前に座り、パンを腹一杯食べられたのに、と奴隷生活から救ってくれた指導者のモーセに文句を言い、食ってかかるのだ。

これは人間の本質について考えさせられるエピソードだと思う。
私はキリスト教徒では無いけれど、このエピソードは強く印象に残っている。

これを大きなメタファーと考えると、自分の意志を押し殺し、時間を売って生きている現代の我々も同じようなもんじゃないか、と言えなくも無い。

自由になることはキツく辛い事でもあるのだ。
だからと言って奴隷にはなりたくないけれど。
でも、奴隷体質の人って、確かにいますよね。