平成少数派の生活と意見

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身近な存在にはならないという覚悟-高倉健さんの死を悼む

昭和残侠伝 唐獅子仁義

 

映画の時代に生きたスター

高倉健さんが亡くなった。映画の時代に生きたスターだった。高倉健さんは徹底して露出を控え、自分のイメージをコントロールしていた。

2012年、NHKの『プロフェッショナル仕事の流儀「高倉健スペシャル」』に出た時、もう年だから自分の考えを後輩に伝える意味でもこういう番組に出ても良いかと思った、と答えていた。

それほどTVに出るのは珍しかった。晩年になって、映画の宣伝のためにTVに出たのは、彼なりの“覚悟”があったのかもしれない。

■高倉健(2012年9月8日放送)| これまでの放送 | NHK プロフェッショナル 仕事の流儀

■高倉健(2012年9月10日放送)| これまでの放送 | NHK プロフェッショナル 仕事の流儀

 

高倉健さんは、「生き方」が芝居ににじみ出ると信じていた。彼の作品を観ていると、実際に出ているのだろうと感じる。

高倉健さんは、自分が好きになった役しか演じなかったらしい。典型的なヒムセルフ型の俳優だ。だからこそ、自身の「生き方」にこだわり、ストイックに生きたのだろう。

 

バラエティに出ないという選択

バラエティ全盛の現在、俳優もバラエティ番組に出なければならない。芸人相手に、大ファンなんてす、とおべっかを使う俳優は見たくないが仕方ない。

本当の自分はこんなに駄目なところがある普通の人間なんですよ、と強調するのも、芸能人を身近な存在に感じたい視聴者が増えたのだから仕方ないのかもしれない。

映画やドラマの宣伝で、役者がバラエティに出るようになったのがいつからかは知らない。今では、大きな顔して番宣に来るな、と芸人に上から目線で言われる始末だ。その結果、役者から真のスターは出なくなってしまった。

芸能事務所や配給会社は役者の売り方を真剣に考え直して欲しい。スケールの大きな役者を目指す人も、高倉健さんの生き方を真剣に見つめ直して欲しい。

祈り
高倉健さんはいなくなってしまったが、彼の残したものは大きかった。
謹んでご冥福をお祈り申し上げます。