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NHKドラマ「聖女」での広末涼子の演技が素晴らしかった(ネタバレあり)

【ネタバレあり】ストーリーについてふれるのは最低限にしますが、広末涼子さんの演技を語る上でどうしても使いたいキーワードがあるので、これからこのドラマを見るつもりの人は読まない方が良いと思います。

 

生まれ変わったら絶世の美女になりたい

飲み会などで生まれ変わるとしたら男か女かという話題が出ると、いつも決まって絶世の美女として生まれ変わりたい、と答えていた。
絶世の美女となって、男を自由に操りながら楽しく生きるのだ。

 

NHKドラマ10「聖女」

聖女プラクセデス

 NHKのテレビドラマ初主演の広末涼子さんがテレビドラマで初めて悪女役を演じた作品、「聖女」がなかなか良かった。

エキセントリックにしようとしてか、無理のある展開も一部あったが、全体としては面白いドラマだったと思う。

何と言ってもこのドラマを面白くしたのは広末涼子さん(主人公・基子役)の演技が素晴らしく良かったからだ。

広末さんの喋り方は舌足らずで幼く、それは女優としては大きなマイナスなのだが、今回はそんな彼女の欠点を補って余りある演技を見せてくれた。

 

美女として生まれた不幸

ウェディングドレス

主人公・基子は極貧家庭に生まれ、母親は売春婦である。父親は幼い頃他界していない。

子供の頃から売春婦の娘と蔑まれ、貧乏生活に耐えて生きてきた。

母親は美しく生まれた娘に対し、「男に利用されたら駄目、美しく賢く強く、誰もが拝みたくなるような聖女になりなさい」、と諭し続ける。

母親は基子が14歳の時に他界してしまう。その後の基子の苦労は言うまでも無い。多くの男達は基子の美貌目当てに邪な目的で近づいてくる。

生い立ちから金銭に対して異常な執着心を持つ基子は、近づいてくる男達を利用して生きていくが・・・。

基子の生い立ちや、世間に馬鹿にされる事無く敬意を持たれて生きたい、という切実な心情などが丁寧に描かれているため、主人公に感情移入しやすい。そのため、基子を単純に悪女だとは思えなくしている。基子はある意味、被害者なのでは無いかと。

脚本家もそう思わせようとしており、「女って怖いねー」と言う男性の言葉に対して、「何言ってるんですか。悪いのは全部男じゃないですか」と女性弁護士に憤慨した口調で言わせている。

 

 

重なる広末涼子のキャリア

広末涼子さんは1996年に出演したNTTドコモポケベルのCMで一躍有名になる。その後歌手としてもヒット曲を飛ばし、NHK紅白歌合戦にも出場する。

女性アイドル歌手がデビュー年に紅白に出場したのは1980年の松田聖子さん・岩崎良美さん以来17年ぶりのことだったそうだから、その人気ぶりが分かると思う。

人気絶頂期の広末さんは早稲田大学に合格するが、あまりの人気に大学を退学せざるを得なくなる。初登校時はマスコミが100人以上集まる騒動となったそうだ。

その後の広末さんは奇行などが報じられ、今でもネット上で昔の悪い噂を目にする事がある。この人にも、可愛いアイドルとなったことで人生を翻弄された時期があったのだ。

 

 

際立つ広末涼子の演技

そんな広末さんは、極貧家庭に美しく生まれた女性の持つ悲しみを見事に演じきって見せた。

人から汚されて、蔑まれて、恨まれる。そういう人生を生きざるを得なかった基子の悲しみを見事に表現できていた。

特に終盤、ストーカーの様になる狂気の演技は見ていて怖くなったほど。
狂っているのか、正気なのか分からない。

愛する人に拒絶され、大泣きした後に、にやりとする口元。

拒絶している男に向かって「いつになったら家に来てくれるの。ずっと待ってるのに」と言う時の甘えた表情。

自宅のプールサイドで、(生まれていないどころか妊娠すらしていない)「赤ちゃんの靴下を編んでいるんです」と言う時の幸せそうな病んだ笑顔。

背筋が凍るほどの見事な演技で、初めて広末涼子さんの演技が上手いと思った。

 

残念だった最終回

海と波

一つ残念だったのはドラマの終わり方。

NHKなのでああいう終わり方にするしか無かったのかも知れないけれど、物語を途中で投げちゃったような、中途半端な終わり方で残念だった。
ストーリー的に都合が良すぎるのだ。

もっと主人公の基子が狂気に犯されていく状況を丁寧に描いていけばさらに面白くなったのでは無いか。ドラマの放送回数の制限があって無理だったのかもしれないが、とても残念だった。

それでも、広末涼子さんの好演もあって、全体的には面白いドラマだった。
広末涼子さんは、その演技を観るのが楽しみな女優の一人になった。

 

 

生まれ変わったら絶世の美女になりたいだと?

今までは単純に、絶世の美女として生まれ変わりたい、と答えていたけれど、これからは条件付だな。

まず頭が良くなくちゃいけない。学業が出来るという頭の良さよりも人生の選択を間違わない頭の良さ。それから、お金持ちとまでは行かなくても家計に余裕がある家に生まれなければならない。あと、男に押し切られる事が無いだけの気の強さと芯の強さが無くては。

これだけ条件の揃った絶世の美女なら、男を自由に操りながら楽しく生きられるよね。きっとね。