平成少数派の生活と意見

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希代の名将か単なる凡将か

名将オシム

元日本代表監督でもあるイビチャ・オシムは、1990年ワールドカップ当時、各民族のスターばかりを集めた選手起用を求めるメディアに対する当てつけとして、初戦西ドイツ戦で敢えてその要求通りの起用で敗戦してみせ、マスコミを黙らせた。
そして、次の試合ではオシムが本来考えるチーム編成にし、見事勝利した。

 

日本代表0-4ブラジル代表

サッカーボール

14日、シンガポールで行なわれたブラジル代表戦で、日本代表は完膚無きまでに叩きのめされた。

とてもではないが、代表同士の試合と呼ぶにはおこがましいような格の違いを見せつけられた。

本田圭佑選手や長友佑都選手といった通用しそうな主力選手をベンチスタートとし、代表経験のほとんどない選手たちをスタメンとしたのだから、この結果はある意味当然とも言える。

 

なんとブラジル戦を選手選考の場とする

しかし、本田選手や長友選手がスタメンとして出場したとしても、今の日本代表ではブラジル代表に勝つことは難しかっただろう。
実際、後半から出場した本田選手はブラジル代表に何もさせてもらえなかった。

アギーレ監督は、今回の試合を、アジアカップに向けた“選手選考が唯一の目的”と割り切った采配を見せたように思う。

主力選手で戦ったとしても、今の状況では勝つことは難しい。得失点差を小さくしてメンツを保つためだけに試合をしても意味は無い。

それなら、経験の無い若手を、特にJリーグで活躍している選手がブラジル代表相手にどの程度通用するのか観察した方が後々の為には役に立つ。


ザッケローニ前監督は海外組中心のメンバーを固定してチームを作った。
そのため、Jリーグの選手をもっと使え、という声が数多くあった。
それは、W杯で惨敗したことにより、より強くなったと言える。

今回の敗戦で、ザッケローニ前監督が外野に何と言われようと海外組の選手を中心に使ったのは、単に選手の質が高いからだったのだ、という事が良く分かったのでは無いか。

 

冷酷なギャンブラー

ギャンブル

日本では、弱い相手との親善試合でも、良い試合をして勝つと選手はスターシステムに乗せられる。

それでは選手も勘違いするし、何より厳しい公式戦に向けての選手選考としては意味をなさない。

強い相手に完膚無きまでに叩きのめされる試合で、選手がどんな反応を見せるのか、アギーレ監督は試合中は勿論、おそらく宿舎に帰ってからも選手を観察したはずである。

そして、使える選手、使えない選手を冷酷に仕分けしているはずだ。
主力を使わずに大敗した事で、一歩間違えばチームが崩壊してもおかしくないようなギャンブルを打ったとも言える。

そういう意味では、なかなかのギャンブラーとも言え、今までの代表監督にいなかったタイプのように思える。

しかし、アギーレ監督になってからのチームが連動性を失い、弱くなっているというのも事実である。これは新しく一からチームを作っているので、ある程度は仕方ないとも言えるが。

おそらく今のままではアジアカップでの連覇はむずかしいだろう。

しかし、4年後に層の厚い強力な代表チームが完成していたとしたら、アギーレ監督は名将なのだ。
その可能性はあると思う。
ただし、そこまで、日本人が我慢できるかどうかは分からない。

アジアカップで無様な負け方をするようだと、監督解任の声が出てくるだろう。その時、我々はアギーレ監督を信じるのか、諦めるのか。
今度は、我々日本人がギャンブルを打つ事になるのかも知れない。