平成少数派の生活と意見

ネットの片隅でどうでも良いことを呟く

大江麻理子さんの真骨頂を見た

鉛筆とメモ

「一方ロシアは鉛筆を使った」で有名なジョークがある。

ネット上でもあちこちに出回っているから知っている人も多いと思う。



アメリカのNASAは、宇宙飛行士を最初に宇宙に送り込んだとき、無重力状態ではボールペンが書けないことを発見した。

これではボールペンを持って行っても役に立たない。

NASAの科学者たちはこの問題に立ち向かうべく、10年の歳月と120億ドルの開発費をかけて研究を重ねた。

その結果ついに、無重力でも上下逆にしても水の中でも氷点下でも摂氏300度でも、どんな状況下でもどんな表面にでも書けるボールペンを開発した!!

一方ロシアは鉛筆を使った


 

このジョークが秀逸なのは、誰もが同じような出来事を身の回りで経験しているからだ。お役所仕事はこの手の出来事で溢れているし、誰だって思い込みから無駄な行動をして失敗した経験の一つや二つはあるだろう。

 

 

 昨日のWBSで、大江麻理子さんの真骨頂を見た。

郵便受け

 昨日のWBSで、「物流を変える!“郵便ポスト改革”」という特集があった。

「ネットショッピングが増えている中、ポスト(郵便受け)の形は昔からあまり変わっていない。
実はこのポストが物流のネックになっていた。この状況を変えようとポスト改革に乗り出した中小メーカーを取材した」
というリードで特集は始まる。

VTRで記者会見が流れる。
メール便が標準的な郵便ポストに入らず、再配達増加の要因になっていた。そこで、Amazonがメーカーと提携し、新しい郵便受けを開発した。
それを導入する住宅にはAmazonの特別会員の年会費を期間限定で割り引く、という記者会見。

「顔を揃えたのはアマゾンジャパンと日本郵便の社長。
そして、その中心にはナスタという聞き慣れない郵便受けメーカーの社長が。知られざる中小企業の取り組みが物流インフラを大きく変えようとしている」
というナレーションが流れる。

 

ナスタは郵便受け国内トップシェア40%を誇る。
しかし、業界標準の規格が長く続き、誰もポストを変えようという意識は持たなかった。

そこに、Amazonから1通のメールが来る。
標準の郵便受けの受け口の大きさではAmazonメール便が入らない。
わずか5mmの違いで本1冊が再配達となっていた。

表面上はあなたの力を貸して欲しい、というお願いだったらしいが、要は俺たちが困ってるから郵便受けのサイズ変えてよ!といういかにもAmazonらしい発想のメール。


ナスタは1年半前にポスト改革のプロジェクトチームを立ち上げ、新しいポストを制作する。
集合住宅の取り替え需要の為に、箱の寸法は変えず受け口だけ広くした。
外側の寸法を変えずに郵便物が入りやすくするにはミリ単位の調整が必要で、様々な苦労があったらしい。


VTRは、ユーザー視点を重視する事で新たな成長に結びつく、というまとめ。VTRを受けて、コメンテーターも既成概念や業界の常識にとらわれないことでビジネスチャンスが広がる、とまとめた。


しかし、最後に大江麻理子さんがおっとりと優しく爆弾を落とす。
スタジオにある郵便受けの上に置かれたアマゾンのメール便をに手をかけて、もともと業界同士が話し合っておけば(もっと早く)効率化が図れたんじゃないかと言い、こう結ぶ。

「アマゾン側がこれをもうちょっと薄くすれば、もっと手っ取り早いような気がしなくもないですけどね」


ダンボール

 Amazonで買い物をした事がある人全員が感じていたであろうもやもやを代弁してくれた。

天下のAmazonを批判するようなことは民放には難しいだろうが、大江さんが言うと角が立たないので、批判には聞こえない。

新しいポストを制作したことでナスタの業績は向上すると予想されているそうだから、経済的にはAmazonが正しいのだろう。
これだけネット通販が盛んになった今、郵便受けを大きくすると言うのは時代の要請でもある。

でも、時に過剰包装と揶揄される事のあるAmazonが、自分達の包装を変えないで郵便受けの方を変えさせてしまうという力業を見ると、厳しい資本主義の本質を感じずにはいられない。

Amazonにチクリと批判的意見を言った大江さんの言葉にカタルシスを感じた視聴者も多かったのでは無いか。
勿論だからと言って何も変わるわけでは無いんですがね。
そんなことは分かった上で、ニュースショーのキャスターとしては見事だと思った。


あのおっとりとした雰囲気は大江さんの大きな武器になるなあ、と改めて感じた。角が立たないので批判に聞こえないというのは大きな武器だと思う。

今後も、にこにこ顔でおっとりと本質を突く発言をして行って欲しい。
例えそれが企業側に不利な発言であろうとも。

 

大富豪と結婚したことで、予想通りにネガティブな報道が出たりしていますが、大江麻理子さんはやっぱりただ者じゃ無い。
嫉妬の嵐の中にいるのは大変だとは思いますが、負けずにこれからも頑張っていって欲しいと思った放送でした。